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初心者の三線について

工房に来られるお客様でたまに『初心者用の三線はありませんか?』と言われる方がいらっしゃいます。

初心者用の三線、、、

そんなカテゴリーの三線がそもそも存在するのでしょうか?

あるとすれば、多分売る側が、初めたばかり、あるいは初めようと思っている方に、

『万が一弾かなくなっても痛手の少ないように』『とっつきやすいように』との思いで

『お手軽価格の三線』を『初心者用』という位置づけで売っている、

そういう事ではないのでしょうか。

 

でも、本当に三線を習い始めたばかりの方は廉価なお手頃価格の三線が向いてるのでしょうか?

初心者だから、と、満足するのでしょうか。

買う方も、続くかわからないし、との考えがあるののは確かだと思います。

 

でも、あえて、初心者の方ほど少しいい三線を持つ事をお勧めします。

 

八重山の島材ユシ木

これは当工房で扱っている島材のユシ木です。

その中でも原木の中心が濃い茶色になっているのがわかるかと思います。

この濃茶の部分がいわゆる木の芯、『実』と呼ばれる部分です。

このユシ木はこの芯の身が詰まっていてとても堅く、その断面は鏡のようにツルツル、つやつやしています。

その身の堅さ、締まりからとても響く三線となります。

八重山黒木も芯は堅いですが、保存状態や育った環境によっては

この当工房のユシ木の実にはかないません。

また、外国産の黒木にも八重山ユシ木程密度が濃いものはありません。

棹を削っているとわかります。

八重山ユシ木はこれが木材なのかと思うくらい、すべすべ、つややかなのです。

 

 

当工房で三線を20丁近くオーダーされているお客様がいます。

そのお客様、ほとんどがこの八重山ユシ木でのオーダーです。音がとにかくいい、と。

もう他の三線は持てない、とまでおっしゃっています。

 

結局、飽きないのです。何丁持っていても、まだ欲しくなる。

なぜ飽きないか、それは響く三線だからです。

 

響く三線は弾いていて楽しいから、もっともっと弾きたくなるのです。

 

 

三線をもっと好きになって欲しいから

 

反対にお手軽価格の三線は正直響きません。特に教室などで大勢で演奏すると全く自分の三線の音が聞こえません。

ですので、弾いていて楽しくなくなる、練習をしなくなる。そして続かなくやめてしまう、という連鎖がうまれます。

始めたばかりの方が結局三線が続かない、最悪興味がなくなる。それは三線が響かないから、満足のいく音色を奏でないから、という事も一因としてあると思います。

 

 

初心者であればあるほど、三線は選ぶべきだと思います。

職人がいい材料を使ってしっかり作っている三線はよく響きます。そして三線の音が自分にもしっかり聞こえるため微妙な音の違いが分かります。

それは『チンダミ』のしやすさにも表れます。

またしっかり作られている三線は、カラクイが緩んだり、戻ったりしないため、これもチンダミのしやすさに繋がります。

 

そしてもう一つ、響く三線につれられて声も出てくるのです。より高く、より伸ばせる、唄三線の『唄』が変わってきます。

 

特にコンクールを受けようと思っている方は、『音』と『唄』の印象が変わる響く三線を持つだけも上達に違いが出てくるはずです。

 

 

 

今現在、三線が楽しい、もっと続けたい、上達したい、と思っている方は是非初心者だからといって安易にお手軽価格の、いわゆる売り手側が『初心者用三線』と言っている三線で満足しない方がいいと思います。

続けられるか心配の方、しっかり作られている三線を持てば続けられます。価値ある三線を持つ事で自分のモチベーションも上がるからです。

 

だからと言ってとにかく高価な三線を買った方がいいといっているわけではありません。

きちんと調べて、出来れば自分の目で確かめて、納得のできる三線をご自身の三線としてください。

そうすれば、もっと三線に興味をもって、もっと三線が好きになるはずです。

 

最初に書いた通り『初心者用の三線』という三線はありません。

三線に興味を持った、好きになっていただけたなら、三線の事をもっとよく知ってもらって、もっと好きになって欲しいです。

そしてせっかく沖縄の三線という楽器を知って、弾いてみようと思っていただけたのなら

本物の『自分の三線』を手にして、いつまでも長く続けてもらいたい、と作り手側は願っています。


今回も最後までお読みいただき

ありがとうございました。m(__)m

 

八重山三線工房

新城